2008年12月25日

国連総会に人権と性的指向・性自認に関する声明提出=日本含む66カ国が賛同

国連総会に人権と性的指向・性自認に関する声明提出=日本含む66カ国が賛同

国連総会に18日(現地時間)、性的指向・性自認に基づく人権を確認する内容の声明が提出された。日本を含む世界5大陸の66カ国が賛同した。LGBTに対する人権侵害を非難する声明が国連総会に提出されたのは初めて。

声明は世界人権宣言を含む既存の国際人権文書を基礎としており、1条では人権の普遍性、2条では「すべての人が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的もしくは社会的出身、財産、出生またはその他の地位等に関わらず人権を享受する権利を有していること」を確認。

声明には、賛同が難しいと見られていたアフリカ大陸の6カ国を含む、5大陸66カ国が賛同。アルゼンチンのホルヘ・アルグエロ国連大使が代表して提出した。声明文は、ブラジル、クロアチア、フランス、ガボン、オランダ、ノルウェー、日本が共同作成した。

66 カ国は、「性的指向や性自認に基づく人権と基本的自由の侵害を深く懸念する」とした上で、「性的指向や性自認に基づく、特に死刑、超法規的・即決・恣意的処刑、拷問およびその他の残忍で非人間的な侮辱的取扱いまたは処罰、恣意的逮捕や拘束、健康に対する権利を含む経済的・社会的・文化的権利の剥奪のような人権侵害を非難」した。

先月 LGBT権利団体ILGA(International Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender and Intersex Association)の共同代表に就任したばかりのグロリア・カレアーガ・ペレスさん(メキシコ)は声明の提出を受け、「ラテンアメリカの政府は、平等とこの声明を支持する者として、先を行こうとしている。LGBTの権利を支持する運動が盛り上がる中で、私たちの声を否定することはもうできないはず」と話す。(関連記事)

世界各地に根強く残るホモフォビア(同性愛嫌悪)について考え、アクションを起こそうとの呼びかけから始まったIDAHO(国際反ホモフォビアの日)の提唱者であるルイ=ジョージ・タンさんは、「このような声明が国連総会に提出されたことはすごいこと。私たちのこれまでのたたかいが上手くいっており、さらに運動を強化していくべきだということを示すものだと思う」とコメントしている。(関連記事)

ILGA の調べによると、現在、60カ国以上で合意に基づく成人同性間の性的行為が違法とされている。国連の規約人権委員会は1994 年、トゥーネン対オーストラリア判決で、合意に基づく成人同性間の性的行為を違法とすることについて、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)に抵触しており人権
侵害だとした上で、人権法上、性的指向に基づく差別は認められないとの見解を示している。

声明をめぐっては、アラブ諸国やバチカン市国などが激しく抵抗した。イスラム諸国会議機構は60カ国の賛同を得て、「反差別と平等の原則は認めるが、普遍的人権は特定の集団の権利に焦点を当てようとするものではない」との声明を公表した。

今回の声明は世界人権宣言60周年を記念して提出された。法的拘束力は持たないが、国連の人権機構がこれまでくり返してきた性的指向や性自認による人権を改めて確認した。ナバネーセム・ピレイ国連人権高等弁務官も、声明を歓迎している。(関連記事)

日本政府は今年6月、国連の普遍的定期審査(Universal Periodic Review)においてLGBTに対する差別撤廃のための措置を講じることとの勧告を受け入れた。10月には自由権規約の政府報告審査で、同様の内容が規約委員会による総括所見に盛り込まれた。(関連記事)

UPR と自由権規約の政府報告審査にあたってNGOレポートを提出したゲイジャパンニュースは、「LGBTの問題に関心を寄せる団体・個人に、今回の政府の声明への賛同と合わせて、勧告の受け入れという事実や総括所見を『ロビイングツール』として活用してほしい」としている。

18日の声明提出直前、国連総会は、性的指向に基づく死刑を含む超法規的処刑を非難する決議を賛成78、反対60で可決した。(編集 山下梓)

【声明文】

1. 私たちは、今年60周年を迎えた世界人権宣言の1条が宣言する「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利において平等である」に述べられた人権の普遍性を再確認し;
2. 私たちは、世界人権宣言2条と、経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約と市民的及び政治的権利に関する国際規約の2条、市民的及び政治的権利に関する国際規約の26条に謳われるとおり、すべての人が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的もしくは社会的出身、財産、出生またはその他の地位等に関わらず人権を享受する権利を有していることを再確認し;
3. 私たちは、性的指向や性自認に関わらず、人権がすべての人に平等に適用されることを求めた非差別の原則を再確認し;
4. 私たちは、性的指向や性自認に基づく人権と基本的自由の侵害を深く懸念し;
5. 私たちは、また、世界中のすべての国で、性的指向や性自認を理由に暴力、嫌がらせ、差別、排除、スティグマ(烙印)、偏見が人びとに向けられていること、そして、これらの行いが、暴力の対象とされた人びとのインテグリティ(不可侵性)と尊厳を侵していることを憂慮し;
6. 私たちは、どこで起ころうとも、性的指向や性自認に基づく、特に死刑、超法規的・即決・恣意的処刑、拷問およびその他の残忍で非人間的な侮辱的扱いまたは処罰、恣意的逮捕や拘束、健康に対する権利を含む経済的・社会的・文化的権利の剥奪のような人権侵害を非難し;
7. 私たちは、人権理事会代表に対し理事会のセッションでこれらの侵害について議論するための機会を設けるよう求めた54カ国が2006年に理事会に提出した声明を想起し;
8. 私たちは、これらの問題に対して人権理事会と条約機関が払ってきた注意を賞賛し、引き続き、関係するマンデートにおいて、性的指向や性自認に基づく人権侵害に関する検討を行うよう促し;
9. 私たちは、2008年6月3日の第38会期中に米州機構総会が「人権、性的指向と性自認」に関する決議(Resolution AG/RES. 2435 (XXXVIII-O/08))を採択したことを歓迎し;
10. 私たちは、すべての国と関係する国際人権メカニズムに対し、性的指向と性自認に関わらず、すべての人の人権の促進と保護に務めるよう求め;
11. 私たちは、各国に対し、性的指向や性自認が、いかなる状況下であっても刑罰、特に死刑、逮捕、拘束の理由とならないよう、あらゆる必要な、特に立法的または行政的な措置を講じることを強く求め;
12. 私たちは、各国に対し、確実に性的指向や性自認に基づく人権侵害が調査され、加害者が起訴され、司法による裁きを受けるよう強く求め;
13. 私たちは、各国に対し、人権活動家に対する十分な保護を確保し、人権活動家が人権と性的指向・性自認の問題について活動する際の障害を除去するよう強く求める。

(日本語仮訳:山下梓)

【声明賛同国(アルファベット順)】
アルバニア、アンドラ、アルゼンチン、アルメニア、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ボリビア、ボスニアヘルツェゴビナ、ブラジル、ブルガリア、カナダ、カーボベルデ、中央アフリカ、チリ、コロンビア、クロアチア、キューバ、キプロス、チェコ、デンマーク、エクアドル、エストニア、フィンランド、フランス、ガボン、グルジア、ドイツ、ギリシャ、ギニア・ビサウ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、モーリシャス、メキシコ、モンテネグロ、ネパール、オランダ、ニュージーランド、ニカラグア、ノルウェー、パラグアイ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サンマリノ、サントメ・プリンシペ、セルビア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、マケドニア旧ユーゴスラビア、東ティモール、イギリス、ウルグアイ、ベネズエラ
2008/12/19 ゲイジャパンニュース
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2009年01月20日

ハートをつなごう

NHK教育「ハートをつなごう」
http://www.nhk.or.jp/heart-net/hearttv/

1月26日(月)27日(火)放送予定

(ホームページより)
年も明けましたが今年もやります。
お待たせしました。LGBTパート2の放送です。

去年11月放送のETVワイド「LGBT」にたくさんのメッセージいただきありがとうございました。
今回はその反響編。地方に暮らすみなさんから届いた声を中心に、いただいたメッセージから考えていきます。

現在取材中。もう少ししたら内容を報告しますね。
posted by てつ at 21:15| 富山 ☀ | TrackBack(0) | LGBT全般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月25日

日本財団会長 笹川陽平氏のブログの記事

日本財団会長 笹川陽平氏のブログより

「同性愛!! 二大超大国 アメリカと中国」
2009年01月21日(水)

問題の箇所の引用

私自身は、性同一性障害という不幸な病気を背負った人のいることは承知しているが、同性愛はどうしても理解できない。

この記事へのお詫びの記事
「お詫び」
2009年01月24日(土)

引用

21日付で掲載した「同性愛!!二大超大国 アメリカと中国」に多数の抗議、批判をいただきました。アメリカ同様、中国でも同性愛に対する社会的認知が進んでいる事実を紹介するのが趣旨でしたが、長年、世界の「ハンセン病患者、回復者に対する偏見差別」の撤廃活動に邁進してきた者として軽率な発言であったと反省しております。

同時に同性愛や性同一性障害の方々がいわれない差別や中傷に直面されている現実、さらにその背景にハンセン病と同様の差別の構造があることをあらためて知りました。性同一性障害を「病気」などと記した軽率さも恥じています。

今回の経験を真摯に受け止め、思いを新たにしてライフワークであるハンセン病の制圧と偏見差別の撤廃に向け活動を続けたいと思います。
posted by てつ at 16:52| 富山 ☁ | TrackBack(0) | LGBT全般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月30日

オバマ政権 LGBT=同性愛者などセクシュアル・マイノリティーをサポートする政策を発表 <ホワイトハウス・ホームページを読む>

オバマ政権 LGBT=同性愛者などセクシュアル・マイノリティーをサポートする政策を発表 <ホワイトハウス・ホームページを読む>

オバマ新政権は自らの掲げる政策の中にセクシュアル・マイノリティーをサポートする政策を提示している。日本の現状とは雲泥の差を実感するがオバマ新政権がこれほど迅速で明確な姿勢を示すとは、正直、予想外だった。

アメリカ政府――ホワイトハウスのホームページ――

 オバマ大統領の就任後すぐに、アメリカ政府――ホワイトハウスのホームページ――新政権の「政策/公民権」の中に『LGBTコミュニティのためのサポート』という1章が掲げられ、8つの項目が提示されている。

 LGBTとは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー(Lesbian Gay Bisexual Transgender)の頭文字をつないだ言葉で、「同性に性的な方向性が向かう」同性愛者、「同性と異性の双方に性的な方向性が向かう」両性愛者、および性同一性障害者を含む「性自認が揺らいでいる人たち」を総称している。セクシュアル(性的)マイノリティーとも呼ばれる。

 つまりオバマ政権は発足直後から、公民権に関する重点政策として「同性愛者などLGBT=セクシュアル・マイノリティーの人権擁護に力を注ぐこと」を印象づけている。

 『LGBTコミュニティのためのサポート』は、その冒頭で、オバマ大統領自身のかつての発言を紹介している。まず、そこから翻訳してみよう。(以下、< >内は筆者による翻訳。)

◇◆◇

 <1969年のストーンウォール暴動(*)以来、長い道のりを経てきました。しかし、私たちはいまだ、多くの仕事をしなくてはなりません。繰り返し何度も、LGBTの人権問題は 私たちを分断しようと企てている人たちの食い物にされてきました。しかし、その核心において、この問題はアメリカ人としての私たち自身の問題です。LGBTの人権問題とは、『総ての市民が威厳と尊敬とを以て平等に扱われるべき』との基本的な約束を、この国が守るのかどうか、そのことについて問うものなのです。――07年6月1日>

(*)ストーンウォール暴動:1969年6月28日――ニューヨークにあるゲイ・バー「ストーンウォール・イン」が警察の不当な捜索を受けた。当時、日常茶飯事となっていた警察による嫌がらせに怯えていたゲイたちは、この日、ついに忍耐の限界に達して初めての反撃におよび、それは一挙に暴動と化した。この暴動が発端となって、アメリカにおける同性愛者迫害への抵抗運動が始まった。

 LGBT政策の第1項目は、「ヘイトクライム(憎悪犯罪)に対応する法令の拡大」と、なっている。

 <2004年、LGBTを標的とした犯罪は、報告されている憎悪犯罪の中で3番目に多く、15%以上を構成している。オバマ大統領は、人種、肌の色、宗教、出身国、性的指向、性自認、または肉体的障害ゆえに為された激しい憎悪犯罪に対応すべく、連邦組織の管轄を拡大する立法を支援した。かつて州議会議員として、オバマ大統領は、憎悪犯罪はもとより、憎悪に起因する策謀を巡らせることを法律違反とする厳しい法律を立法した>

 ここで使われている「憎悪」とは、同性愛者などLGBTに対する嫌悪から導かれる憎悪(=ホモフォビア)を指している。オバマ新政権は、セクシュアル・マイノリティーに対し、単に「嫌いだ」「気持ちが悪い」といった理由で攻撃を加えたり、嫌がらせをすることは、れっきとした犯罪行為であると謳い、法整備の充実を政策として掲げている。

 第2項目は、「職場での差別と戦う」と題されている。

 <オバマ大統領は、雇用差別禁止法を支持し、この法律(の適用)が性的指向や性自認(に根ざす差別)を含めるべく、拡大されるべきであると信じている。従業員のドメスティック・パートナーへの福利厚生を拡充する雇用者が増加するいっぽう、職場における性的指向に根ざした差別は、連邦法の制裁なしに起こっている。大統領はまた、かつてイリノイ州議会で、性的指向に根ざす雇用差別を禁止する立法を後押ししてきた>

 ドメスティック・パートナーとは、同性カップルを含む「共同(同棲)生活するカップル」に対し、結婚した男女カップルとほぼ同等の法的権利保障を認める制度で、アメリカの多くの州で採用されている。ただし、カップルは、その州内で実際に生活をともにしていなくてはならず、遠距離恋愛や単身赴任のような生活実状は対象とされないなど、結婚によって得られる法的権利と比べ、見劣りは否めない。

 LGBT政策の第3項目は、「LGBTカップルをサポートする完全なシビルユニオンと連邦権」についてである。シビルユニオンとは、ドメスティック・パートナー制度より一歩進化しており、「共同(同棲)生活するカップル」に対し、より男女の結婚に近い法的権利を認めようという概念だ。

 <オバマ大統領は、同性カップルに対し、結婚した(男女)カップルと等しい法的権利や恩恵を付与する「完全なシビルユニオン」を支持する。オバマ大統領はまた、結婚保護法を廃止し、現在、男女の結婚歴にのみ基づいて提供される連邦法的権利と恩恵が、シビルユニオンや他の法的承認を受けた同性カップルへも拡大されることを保障する法律を、制定する必要があると信じている。これらの権利や恩恵は、最愛の人の緊急時を救う権利、平等な健康保険を受ける権利、雇用上の恩恵、そして所有権を含んでいる>

 同性カップルだろうと男女カップルだろうと、互いの最愛の人が病気や怪我で医療処置を受けなくてはならないとき、あるいは死を迎えねばならないとき、そこに配偶者として立ち会う権利は、平等に認められなければならない。健康保険の扶養者として名を連ねたり、所得税の配偶者控除を受けたり、婚姻財産権を得たりなど、やはり同性カップルも男女カップルも、全く同じ権利が認められるべきである。

 第4項目で、オバマ大統領は「同性結婚を禁じる憲法に反対する」と宣している。

 <結婚を男女のあいだだけのものと規定し、同性カップルやその他の未婚カップルに対する、結婚に相当する権利の法的解釈延長を妨げようとした06年の連邦結婚規定の修正条項に対して、オバマ大統領は反対票を投じた>

 結婚の定義を男女カップルに限定しようとする保守派勢力のこだわりは強固で、昨年11月のカリフォルニア州・州民投票の結果、同州で施行されていた同性結婚制度の廃止が可決されたときも、その原動力となった。保守派勢力は、さらにアメリカ連邦憲法で、結婚の定義を男女カップルのみに規定しようと企てている。もし、憲法の結婚条項が修正されると、州を超え、アメリカ全土で同性婚が禁止されてしまうことになる。

 第5項目でオバマ新政権は、アメリカ軍の内部で、兵士のセクシュアリティーについて「Don't Ask/Don't Tell――尋ねない告げない」ことを旨とすべきとされている方針を撤回すると表明している。

 かつて、アメリカ軍人のトップとも言える統合参謀本部議長が、「同性愛はモラルに反しているので、許容すべきでない」と発言し、批判されたことがあった。結局、同議長は、「個人としての意見を述べただけで、軍の見解ではない」と失言を認め、遺憾の意を表明した。だが、軍隊内部には、歴然とした同性愛者差別が色濃い。

 「Don't Ask/Don't Tell――尋ねない告げない」政策によって、軍隊内部では、例えば上官が部下に「お前は同性愛者か?」と尋ねてはならないとされ(Don't ask)、また、同性愛の兵士自身からも「自分は同性愛者だ」と明かしてはならない(Don't tell)。もし、同性愛者だと明かせば、除隊を求められる。

 つまり、同性愛者であることを隠しておけば軍隊で働けるが、いったん明かしてしまうと、軍隊にいられなくなってしまう。この「黙って居さえすれば……」というところが、明白な差別に当たるという議論が、アメリカにはある。

 第6項目は、「養子縁組の権利拡大」である。

 <オバマ大統領は、性的指向に関わらず、総てのカップルや個人が、養子を授かる権利を保障しなければならないことを信じている。大統領は、両親がゲイカップルであろうとなかろうと、子どもは健康と愛のある家庭で恩恵を受けるだろうと考えている>

 保守派勢力は、レズビアンカップルの片方あるいは双方が、人工授精で妊娠・出産して子どもを育てることを、自然の摂理に反するとして受け入れない。しかし、現実は、シングルマザーの増加とともに、アメリカでは当たり前のライフスタイルとなりつつある。チェイニー・前副大統領の娘、メアリー・チェイニーさんは、レズビアンであることを公言し、06年、人工授精によって妊娠。07年の5月、無事に男児を出産している。

 いっぽう、赤ちゃんを宿せないゲイのカップルは、養子を得ることでしか子どもを育てることができない。オバマ大統領は、ゲイカップルもまた養子を得て、親として子どもを育てる権利を支持している。

 オバマ新政権のLGBT政策、その第7項目は「エイズ予防の促進」である。

 <政権の初年度、オバマ大統領は、連邦の全政府局を含む広範囲な国家的HIV/AIDS予防戦略の実行を開始する。同戦略は、HIV感染を減らし、ケアへのアクセスを高め、HIVに関連する健康の不均衡を低下させるよう設計されている。大統領は、年齢相応の性教育とコンドーム使用についての情報、教育とコンドーム使用を通じての刑務所内での感染防止、公衆衛生システムを通じてのコンドーム分配――などを含みつつアプローチする「常識」を支持する。大統領はさらに、麻薬使用者のあいだの感染率を劇的に減らすことができる「注射器の針交換」の禁止を解くことを支持する。またオバマ大統領は、これまで、HIV/AIDSを巡るホモフォビアと結び付いている不名誉に、進んで対決してきている>

 HIV感染率を減らしながら、感染が判明した人たち/発症した人たちのケアを怠りなく図ること。感染予防のために、コンドーム使用の励行などをしっかり教育すること。不衛生な注射器を使い廻すドラッグ・ユーザーに、衛生的な注射器を支給して、HIVの蔓延を防止すること。そして、AIDSは決してゲイ特有の病気ではなく、HIVは誰にでも感染する恐れがあることを強調し、HIV/AIDS問題が繰り返しゲイ差別をもたらす事象について、徹底的に反対すること。――これらは、待ったなしで、日本でも取り組まなくてはならない喫緊の課題だが、麻生首相から、このオバマ・LGBT政策と同レベルの談話を聞けるとは到底おもえない。

 そして、第8項に示されているLGBT政策は「女性のHIV感染を防ぐ」こととされている。

 <アメリカでは、エイズと診断された女性の割合は過去20年間で4倍に増加している。こんにち、新たなHIV/AIDS確認数の4分の1以上が女性である。オバマ大統領は、エイズとの戦いにおいて、女性を助力する製薬開発を加速させるべく、抗ウイルス剤開発法を提案した。抗ウイルス剤は、HIVやその他の感染の、とりわけ女性への伝播を防ぐため、目下開発中である>

◇◆◇

 こうして、アメリカ政府――ホワイトハウスの広報に接してみるだけでも、日本の現状との雲泥の差を実感する。とくに、オバマ新政権の政策において、これほど迅速で明確なLGBT擁護の姿勢が示されるとは、正直、予想外だった。

 外国の話に過ぎないと言ってしまえばそれまでだが、オバマ大統領が、これからの4年間に亘る任期のどこで、どのようなLGBT人権擁護のための具体的施策の実現――立法化に成功するか、あるいは失敗するか。この際、焦る必要はないので、じっくり注視してゆきたい。
2009/1/27 JANJAN

ホワイトハウスのサイトより英語原文
http://www.whitehouse.gov/agenda/civil_rights/

Support for the LGBT Community

"While we have come a long way since the Stonewall riots in 1969, we still have a lot of work to do. Too often, the issue of LGBT rights is exploited by those seeking to divide us. But at its core, this issue is about who we are as Americans. It's about whether this nation is going to live up to its founding promise of equality by treating all its citizens with dignity and respect."

-- Barack Obama, June 1, 2007

* Expand Hate Crimes Statutes: In 2004, crimes against LGBT Americans constituted the third-highest category of hate crime reported and made up more than 15 percent of such crimes. President Obama cosponsored legislation that would expand federal jurisdiction to include violent hate crimes perpetrated because of race, color, religion, national origin, sexual orientation, gender identity, or physical disability. As a state senator, President Obama passed tough legislation that made hate crimes and conspiracy to commit them against the law.

* Fight Workplace Discrimination: President Obama supports the Employment Non-Discrimination Act, and believes that our anti-discrimination employment laws should be expanded to include sexual orientation and gender identity. While an increasing number of employers have extended benefits to their employees' domestic partners, discrimination based on sexual orientation in the workplace occurs with no federal legal remedy. The President also sponsored legislation in the Illinois State Senate that would ban employment discrimination on the basis of sexual orientation.

* Support Full Civil Unions and Federal Rights for LGBT Couples: President Obama supports full civil unions that give same-sex couples legal rights and privileges equal to those of married couples. Obama also believes we need to repeal the Defense of Marriage Act and enact legislation that would ensure that the 1,100+ federal legal rights and benefits currently provided on the basis of marital status are extended to same-sex couples in civil unions and other legally-recognized unions. These rights and benefits include the right to assist a loved one in times of emergency, the right to equal health insurance and other employment benefits, and property rights.

* Oppose a Constitutional Ban on Same-Sex Marriage: President Obama voted against the Federal Marriage Amendment in 2006 which would have defined marriage as between a man and a woman and prevented judicial extension of marriage-like rights to same-sex or other unmarried couples.

* Repeal Don't Ask-Don't Tell: President Obama agrees with former Chairman of the Joint Chiefs of Staff John Shalikashvili and other military experts that we need to repeal the "don't ask, don't tell" policy. The key test for military service should be patriotism, a sense of duty, and a willingness to serve. Discrimination should be prohibited. The U.S. government has spent millions of dollars replacing troops kicked out of the military because of their sexual orientation. Additionally, more than 300 language experts have been fired under this policy, including more than 50 who are fluent in Arabic. The President will work with military leaders to repeal the current policy and ensure it helps accomplish our national defense goals.

* Expand Adoption Rights: President Obama believes that we must ensure adoption rights for all couples and individuals, regardless of their sexual orientation. He thinks that a child will benefit from a healthy and loving home, whether the parents are gay or not.

* Promote AIDS Prevention: In the first year of his presidency, President Obama will develop and begin to implement a comprehensive national HIV/AIDS strategy that includes all federal agencies. The strategy will be designed to reduce HIV infections, increase access to care and reduce HIV-related health disparities. The President will support common sense approaches including age-appropriate sex education that includes information about contraception, combating infection within our prison population through education and contraception, and distributing contraceptives through our public health system. The President also supports lifting the federal ban on needle exchange, which could dramatically reduce rates of infection among drug users. President Obama has also been willing to confront the stigma -- too often tied to homophobia -- that continues to surround HIV/AIDS.

* Empower Women to Prevent HIV/AIDS: In the United States, the percentage of women diagnosed with AIDS has quadrupled over the last 20 years. Today, women account for more than one quarter of all new HIV/AIDS diagnoses. President Obama introduced the Microbicide Development Act, which will accelerate the development of products that empower women in the battle against AIDS. Microbicides are a class of products currently under development that women apply topically to prevent transmission of HIV and other infections.
posted by てつ at 15:13| 富山 ☁ | TrackBack(0) | LGBT全般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

国内外のLGBT団体 同性愛嫌悪発言の財団会長に書簡送付

国内外のLGBT団体 同性愛嫌悪発言の財団会長に書簡送付

国内外のLGBT関連31団体は27日、ブログ上でホモフォビック(同性愛嫌悪的)な発言をしたとして、笹川陽平・日本財団会長に対して、LGBTに対する偏見を改め理解を深めるよう当事者との面会などを求める書簡を送付した。

笹川・日本財団会長は21日、「同性愛!! 二大超大国 アメリカと中国」と題したブログで、過去にゲイ男性カップルがベッドに横になっているのを見た際に「気分を悪くしたこともある」、「1ドル360円時代」のアメリカには「興味本位か経済的理由であったのかは知らないが(中略)その道に入った日本人留学生もいた」、「性同一性障害という不幸な病気を背負った人のいることは承知しているが、同性愛はどうしても理解できない」などの発言をした。

これに対し、ブログにはLGBTや、LGBTを友人に持つという人などから28日までに100件を超えるコメントが寄せられた。

コメントの多くは、「記事には多くの誤解があると感じた」や「『障害』はマイノリティを『異常者』として社会が差別するから『障害』になってしまう。社会的に地位ある人がこのような無知で差別的な発言をし、とても悲しく思う」、「人は誰でも自分に理解できないものを排除しようとしてしまう。排除された人間のさみしさ、悔しさを少しでも知って。同性愛、性同一性障害者だけのことではないはず」など、発言の基に見えるホモフォビア(同性愛嫌悪)を指摘したり批判する内容。

一方で、「同性愛者の排除をお願いいたします」や「『同性愛』は病気であると私も思う。だから差別するつもりはないが、早く治療すべきだと思う」などの書き込みも寄せられた。

これらのコメントを受けて笹川氏は24日、ブログで「アメリカ同様、中国でも同性愛に対する社会的認知が進んでいる事実を紹介」するのが趣旨だったと説明した上で、「長年、世界の『ハンセン病患者、回復者に対する偏見差別』の撤廃活動に邁進してきた者として軽率な発言であったと反省」していると、「お詫び」を掲載した。

海外の21団体を含むLGBT関連31団体は、謝罪を歓迎する一方でホモフォビックな見解について「憂慮が消えたわけではない」として、対面での謝罪と、LGBTの直面する問題について理解を深めてもらうことを目的とした当事者との面会を求める書簡の送付にふみ切った。(書簡全文は以下)

賛同をとりまとめたゲイジャパンニュースは、「書簡は改めて謝罪を求める格好になっているが、それが大きな目的ではない。ハンセン病患者に対する差別という人権問題に取り組んでこられた方として、また、大きな財団のトップとして国内外で社会的影響力を持つ方として、LGBTに対する誤解や誤解に基づく偏見・嫌悪を取り除き、人権問題のひとつとしてLGBTについても理解を深めてもらいたい」と述べ、「偏見や差別的視点についてはしっかり指摘したいが、相手を批判ばかりするつもりはない。書簡に対し何らかの回答があれば、丁寧に対話を重ねたい」としている。

欧米では人種や宗教、性別や障害、性的指向を理由とした差別的な言動や差別を扇動するような行為を差別の形態のひとつ「ヘイトスピーチ」として取り締まる法律がある。例えばカナダでは、肌の色や人種、民族的出自や性的指向を理由として特定の集団に対する憎悪を扇動した場合、最大で14年の懲役が科される。

日本にはヘイトスピーチを取り締まる法律はない。2002年に小泉内閣が国会に提出した人権擁護法案には、性的指向が差別禁止事由に含まれ「差別的言動」も禁止される差別行為に盛り込まれていたものの、報道の自由や人権委員会の独立性などに問題が多いとの批判があり、数度にわたり国会に提出されたが、現在は廃案となっている。(編集 ゲイジャパンニューススタッフ)

【書簡(全文)】

2009年1月27日



財団法人 日本船舶振興会
会長 笹川陽平 殿

前略 貴殿と貴財団の日頃の人権に関する取り組みに敬意を表します。

私たち、以下に署名した31団体は、貴殿が2009年1月21日付のブログ「同性愛!! 二大超大国 アメリカと中国」で表明された同性愛嫌悪的見解について、非常に憂慮しています。24日付のブログ「お詫び」で、中国における「同性愛に対する社会的認知が進んでいる事実を紹介する」のが趣旨であったと説明し、同性愛者や性同一性障害者に対する差別やその背景にある差別の構造を認識したとして謝罪されたことは歓迎いたしますが、私たちの憂慮はまだ消えていません。

私たちは、貴殿の発言を、日本国内だけでなく、貴財団がさまざまなプロジェクトを展開される世界各地に住むレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー(LGBT)の人びとの尊厳を傷付けるものであったと捉えております。加えて、社会的に容認された立場にいながらハンセン病患者に対する差別という人権問題に取り組まれてきた方として、貴殿の同性愛嫌悪に満ちた見解は、LGBTの人びとに対する偏見と差別を助長し、社会における不寛容の風潮をつくり出すものであったとも考えております。

日本をはじめとする世界の多くの国で、LGBTの人びとは今日なお偏見や暴力、差別や迫害といった人権侵害に直面しています。LGBTの人びとの人権の侵害は、国内外で人権問題のひとつとして議論され、それら人権侵害に対する取り組みが行われてきています。

ハンセン病患者に対する差別と闘い、その活動が国内外において評価を得ている貴殿のような方にとって、人権の普遍的価値を支持することは、非常に重要なことです。私たちは、意見や表現の自由が重要な人権のひとつとして尊重されるべきであることに疑いを持ちませんが、その自由は特定の集団や個人に対する差別の自由を認めるものではないと信じております。

よって、私たちは、貴殿が21日付のブログで表された同性愛嫌悪的見解について対面での謝罪を求めるとともに、この機会にLGBTに対する偏見を取り除き、LGBTの人権問題に対する理解を深めていただきたく、私たちLGBT当事者とお会いくださるよう強く求めます。

また、貴財団の世界各地におけるハンセン病制圧プロジェクトを、LGBTの人びとを含むすべての人の人権の尊重を再確認した上で実施されるよう併せて求めます。

貴殿が迅速にこの問題にご対応くださいますよう、期待しております。
草々

【署名団体】

1. アジア女性資料センター(日本)
2. L&G Timpani(日本)
3. LGBTの家族と友人をつなぐ会(日本)
4. ゲイジャパンニュース(日本)
5. G-FRONT関西(日本)
6. 性と人権ネットワーク ESTO(日本)
7. デルタG(日本)
8. ピアフレンズ(日本)
9. 横浜Cruiseネットワーク(日本)
10. レインボープライド愛媛(日本)
11. Anne’s Door(イタリア)
12. Asia Pacific Coalition on Male Sexual Health(インド)
13. Beijing Aizhixing Institute(中国)
14. Diversity and Equality Philippines(フィリピン)
15. EveryOne Group(イタリア)
16. Fundacion Arcoiris(メキシコ)
17. Gay Liberation Network(アメリカ)
18. GayRussia.Ru(ロシア)
19. Gays without Borders(タイ)
20. IGLYO(ベルギー)
21. International Centre for reproductive health and Sexual rights(ナイジェリア)
22. International Gay and Lesbian Human Rights Commission(アメリカ、フィリピン、南アフリカ、アルゼンチン)
23. International Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender and Intersex Association(ベルギー)
24. Lesbenorganisation Schweiz LOS(スイス)
25. Moscow Pride Organizing Committee(ロシア)
26. ProGay Philippines(フィリピン)
27. Shawprova(バングラデシュ)
28. Taiwan Tongzhi Hotline Association(台湾)
29. Terrence Higgins Trust(イギリス)
30. UK Gay News(イギリス)
31. Watching The Sky(イタリア)

(賛同団体は2009年1月28日現在)
2009/1/30 ゲイジャパンニュース
posted by てつ at 15:15| 富山 ☁ | TrackBack(0) | LGBT全般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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